しもごえ?

 漢字で書くと「下肥」。これは「しもごえ」って読むんだけど、ナンだと思う? ふだんあまり聞いたことないよね。これは、「人の糞(ふん)」のことなんだ。そこのキミ、くさそう~と思ったでしょ(正直でよろしい!)。でもね、江戸時代は「金肥(きんぷん)」と呼ばれて、農家にはとても大切なものだったんだ。

 練馬の農家はむかし、町の武家屋敷(ぶけやしき)や町屋敷(まちやしき)の下掃除(しもそうじ)をして、人糞を手に入れていた。武家屋敷に住んでいるお武家さんのウンチは、町人よりも栄養のあるものを食べているから、肥料として値段が高かったんだ。

 こうして手に入れた下肥は、時間をかけて熟成するほど酸性→アルカリ性→中性に変わって、おいしい野菜をつくる肥料になる。だから、当時の農民は、肥溜(こえだ)めをつくったり、下肥の熟成させる工夫をしたんだね。

 農家では、熟成した下肥に油粕(あぶらかす)、鰯(いわし)、牛や馬の糞を熟成(じゅくせい)させたものを混ぜて肥料につかって、おいしい野菜をつくっていたんだ(肥料の材料は、ぜんぶお金を払って買っていた)。

 ここに当時のやり取りがあるから書いておこう。
 「したそうじの代金として金2両をおさめるかわりに、たくあん大根1500本差し上げます。ただし、おさめる時は、その年の値段で、たくあんでおさめます。15たるで金3両2分ですから、差引1両2分は、7月と12月にはらってください」(天保12 年、土支田村の金次郎と藤五郎が大沢氏の家来にあてて書いた契約書の一部)