設立の趣旨

第二次世界大戦以後、わが国は経済的豊かさを求め発展してきました。しかし、バブル崩壊後、経済を優先する価値観は大きく揺らぎ、行き場のない不安と危機感が広がっています。そして、多くの人々は浪費型の豊かさから、心の豊かさを探し求め始めています。

わが国の農業は、古来より2000年に渡り営々と生産を繰り返し、技術と文化を継承してきました。それは、日本人の心の基盤を支える重要な営みであり、農業というものを見直すことは、この国が将来も繁栄し、豊かな社会を築くうえでも、大きな未来へのヒントを与えてくれるものと確信しています。今こそ、もう一度農耕民族としての原点に立ち戻り、生きる価値の再検証が必要な時期にきているのではないでしょうか。

一方、都市の農地は、都市住民に新鮮で安全な農産物を供給するばかりでなく、緑の空間として、あるいは緊急災害時の避難場所等として多面的な役割を担ってきました。その中でも、私たちの暮らす東京都練馬区内には300ヘクタールを超える農地が存在し、約700戸の農家が営農を続けています。これは、23区内随一の規模であるばかりか、東京都全域の中でも有数の農業の盛んな地域といえます。

平成8年より、練馬区と区内農家の提携のもとに始まった練馬区農業体験農園事業は、農家が地域住民に農地を開放し、長年培ってきた野菜作りの技術を伝授するという画期的な事業で、農家はこのことにより経営の安定が得られるばかりでなく、地域住民への農業理解にも寄与することとなりました。また、地域住民についても、身近な農地で専門家に教わりながら手軽に野菜作りが体験できることに加え、農園が地域住民の交流の場としてコミュニティ空間の役割も果たすようになっています。

私たちは、これまでの都市農業で得た経験とノウハウを生かし、さらに農業を通して教育、生涯学習、福祉、余暇の楽しみや文化の継承など、地域社会の一員として農業のもつ力をいかんなく発揮し、日本農業の発展と、豊かな地域社会の実現に寄与していきたいと考えています。

そこで、新たに仲間を募り活動団体を組織し、都市に於ける農業の可能性を探り実践をしていくことにいたしました。そしてここに、組織の基盤をしっかりとしたものとし、情報の公開と活動の周知をはかり、責任を明確にするため「特定非営利活動法人 畑の教室」を設立し、農業を通して地域社会貢献の活動を展開していく所存です。

「特定非営利活動法人 畑の教室」に多くの方々のご参加を期待いたします。