給食への野菜供給

農業体験の実施は、学校からの徒歩圏に受け入れ農家がないと困難です。
しかし毎週のように農家に通うことは無理でも、子ども達に食育の機会を与えることはできます。

「NPO法人 畑の教室」では野菜の供給を通じて、子どもたちに旬の野菜を食べ、本当の野菜のおいしさを知ってもらう体験のサポートをしています。 農家から直接購入する野菜は、市場で仕入れる野菜とは異なって収穫が天候に左右されやすく、また収穫した野菜の見た目が不揃いなため調理さんの加工の手間も余計にかかります。栄養士さんも、通常のように献立を考えてから食材を発注するのではなく、その時の旬の野菜ありきで献立を数パターン考えるという、逆のプロセスを踏む必要が生じます。 しかし新鮮な野菜を食べた子どもたちはちゃんとそのおいしさがわかり、好き嫌いの多い子どもが給食をたいらげるケースも珍しくありません。栄養士さん、調理士さんはそんな子どもたちの反応を見て、「ちょっと手間がかかるけどがんばって続けよう!」と思うのだそうです。

日本の給食は世界でも珍しく、ヘルシーで教育的にも素晴らしいと海外からも高い評価を得ている制度です。 給食を、栄養バランスに優れた食事をとる機会としてだけでなく、食育の材料としても活用してはいかがでしょうか。

給食でできる食育


飯島さんは、手書きの給食だよりを発行し続け、「給食だよりコンクール」で全国1位になったこともある栄養士さんです。ここでは飯島さんの取り組みについて紹介いたします。

1.食習慣に関する実態調査


学校の生徒を対象に、文部科学省食生活学習教材の食習慣チェック表による調査を実施。子どもたちの食を取りまく問題点を把握することで献立や指導方法に役立てることはもちろん、学校・家庭・地域・教育委員会に対して食育の取り組みを理解してもらう際の裏付け資料としても活用した。

2.地域の食材や料理の研究


献立作成にあたり、地場の野菜や旬の食材を活用した料理、行事食などを調査。また子どもたちの食事の実態調査結果を踏まえ、不足しがちな栄養素を補う料理についても研究した。

3.「給食だより」を通じた指導


生徒に配布する給食指導資料、「給食だより」を発行。献立のねらいや栄養バランスについて説明した。そのほかには女子にとって関心の高いダイエットについてのアドバイスや冬には風邪を予防する食事、受験シーズンには受験必勝の食事についても解説するなどの工夫がされている。

4.地産地消の実践


練馬区内の生産農家との連携により、野菜の契約栽培を実施。地場野菜を給食の食材として取り入れ、「どこの畑で、誰が、どんな思いで、どのように栽培したか」を生徒に伝える、生産者の写真入り絵たよりを配布。また、生徒が野菜を食べた感想を農家の方に届けるフィードバックも試みた。

5.選択式献立の研究・実践


・リザーブ給食・・・2、3種類の献立の中から、自分の好きなものをあらかじめ予約(リザーブ)して食べる給食。セレクト給食と呼ばれることもある。献立を自分で選ぶ事により、楽しさや満足感を感じるとともに食べることへの意欲が高まる効果がある。

・リクエスト給食・・・生徒に食べたい給食メニューのアンケートを実施。リクエストの多いメニューを給食の献立に採用する。

・バイキング給食・・・たくさんの料理の中から、自分で選んでとり分けて食べる給食。レストランのように自分の好きなものだけを選ぶのではなく、栄養を考えて「主食」「主菜」「副菜」「汁物」「デザート」など、それぞれのグループ料理から偏りなく選ぶ。またなくなってしまった料理は追加されないので、ほかの友達のことも考え、適切な量を選択することが求められる。
自ら選ぶ楽しさ、友達への思いやり、マナーについて考えながら、楽しく食事をすることができる形式である。

飯島さんへのインダビューを終えて

私の小学校時代の給食の思い出といえば、地味な色合いばかりで食欲のわかない献立、ペット用かと見間違う薄汚れた黄色のプラスチック皿、毎月繰り返されるカレーシチューとミルクパンの代わり映えのしない組み合わせ、等々です。栄養士さん、調理士さんがいるらしいということはなんとなく知っていましたが、給食室の奥で白衣姿で作業しているマスクで顔が覆われた方々は、得体が知れずなんだか怖い存在でした(失礼なことを言ってすみません・・・)。
そんな経験しかなかった私にとって今回の飯島さんへのインタビューは、驚きと今の子どもたちへの羨望の連続でした。全校朝会で栄養士さんが食事についてお話をすること、食材紹介のプリントを給食前に配ること、校長先生や用務員さん達との交流を兼ねたバイキング給食・・・
どれもが従来の給食や、栄養士さんの価値観を覆すものです。おいしそうで楽しそうで、本当にうらやましくなりました。
食の現場から小中学生の歪みを正していこうとする飯島さんのような方が、全国の小中学校にどんどん増えていってくれればいいなと思います。
(インタビュアー 小村)